はじめての歯科ガイド|治療・費用・保険のしくみをゼロから

このガイドで分かること|歯医者が初めてでも大丈夫

「歯医者に行きたいけれど、何をされるのか分からない」「保険と自費の違いが分からない」「費用がいくらになるのか不安」。このページは、そんな人のための入門ガイドです。歯科の用語も制度も知らない前提で、ゼロから順番に説明します。

結論から言うと、歯科で迷いやすいことは、次の3つに分けて考えると整理できます。

  1. 何をする治療なのか(治療の中身)
  2. 保険が使えるのか(保険診療か、自費診療か)
  3. お金の負担を軽くする制度があるか(医療費控除、高額療養費など)

この3つを順番に押さえれば、歯科医院での説明や見積もりが、ぐっと分かりやすくなります。

こんな人に向けて書いています

  • これから歯医者に通う人、久しぶりに通う人
  • 「保険でできる治療」と「自費の治療」の違いが分からない人
  • 治療の選び方(保険の方法か、自費の方法か)で迷っている人
  • 子どもや親の歯のことで、調べ始めたばかりの人

症状がない人が「まず」すること

今どこも痛くない人は、次の順で動くと迷いません(詳しくは「検診とメインテナンスの費用」の章で説明します)。

  1. 住んでいる市区町村の「歯周病検診」の対象に当てはまるか、市区町村のホームページで確認する(対象年齢などは「歯の予防と検診」の章で説明します)。当てはまれば、その案内に沿って受ける。
  2. 当てはまらない年は、近くの歯科医院に「歯の検診を受けたい」と予約する。健康かどうかを確かめるだけの検診は保険の対象外になることがあるので、そのとき「保険で受けられますか。自費の場合はいくらですか」と聞く。自費の金額は医院ごとに違うので、気になるときは2〜3か所に聞いて比べてもかまいません。
  3. 検診の結果、治療が必要と言われたら、このページの「保険と自費」「費用」の章を読み返して、説明を聞く。

このガイドの読み方

最初から順に読むと、全体像 → 治療の中身 → 保険と自費 → 費用 → 検診 → 制度 → 受診の流れ、とつながるように並べています。気になるところだけ読むときは、上の目次から飛んでください。各章の終わりには「ここまでで覚えておくこと」をまとめています。年は「2026年(令和8年)」のように西暦で書き、必要なときだけ和暦を添えています。情報は2026年10月時点のものです。

このページは、一般的な情報を整理したものです。診断や治療のすすめではありません。自分の歯にどの治療が合うかは、口の中を実際に診た歯科医師にしか判断できません。気になる症状があるときは、歯科医師に相談してください。

歯科の全体像とは|予防から治療、そしてメインテナンスへ

歯科の流れは、大きく見ると「ふだんの予防」→「検診・受診」→「検査と説明」→「治療」→「メインテナンス(治療後の手入れと定期的な点検)」の輪になっています。治療が終わったら終わり、ではなく、また予防に戻ってくるのがポイントです。

たとえるなら、歯は「毎日使う道具」です。壊れてから直すより、ふだんの手入れと定期点検で長持ちさせるほうが、手間も費用も少なくて済みやすい、という考え方です。

歯科の全体像。予防、検診・受診、検査と説明、治療、メインテナンスが輪になってつながる図
歯科は「予防→受診→検査と説明→治療→メインテナンス」の輪で考えると分かりやすい

歯を失う2大原因は「むし歯」と「歯周病」

厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」は、大人が歯を失う原因の多くは、歯周病かむし歯だと説明しています。つまり、この2つを防ぎ、早めに見つけることが、歯を長く保つ中心になります。

2024年(令和6年)の歯科疾患実態調査(国が歯と口の状態を調べる調査)では、80歳で20本以上の歯がある人の割合は約61.5%と推計され、前回調査の51.6%より高くなりました。歯を保てる人は増えていますが、まだ約4割の人は20本に届いていない計算です。

ここまでで覚えておくこと

  • 歯科は「予防→受診→検査と説明→治療→メインテナンス」の輪で考える。
  • 大人が歯を失う主な原因は、むし歯と歯周病。
  • 治療が終わったあとの手入れと点検も、治療と同じくらい大切。

歯科の用語ミニ辞典|治療で出てくる言葉をやさしく

歯医者さんの説明でよく出る「治療の言葉」を、説明と一緒にまとめました。保険や税金など「制度の言葉」は、あとの「保険診療と自費診療」の章の最初にまとめています。分からない言葉が出てきたら、ここに戻ってきてください。

用語 説明
う蝕(うしょく) むし歯のこと(「初期のう蝕があります」=ごく初期のむし歯がある)
歯周病(ししゅうびょう) 歯ぐきと、歯を支える骨の病気(歯ぐきから血が出るのは、歯周病のサインのことがある)
歯垢(しこう)/プラーク 歯につく細菌のかたまり(歯みがきで落とすべき「よごれ」の正体)
歯石(しせき) 歯垢が固まって石のようになったもの(歯ブラシでは取れないので、歯科医院で取る)
歯周ポケット 歯と歯ぐきのすき間の溝(深くなるほど歯周病が進んでいる目安になる)
歯髄(しずい) 歯の中にある神経や血管(「神経を取る」と言われるのは、この部分)
根管治療(こんかんちりょう) 歯の根の中をそうじして、ふさぐ治療(むし歯が神経まで届いたときなどに行う)
詰め物 削ったあなを埋める材料(型を取って作る詰め物は「インレー」と呼ぶ)
被せ物(クラウン) 歯の上からすっぽりかぶせる人工の歯(大きく削った歯を守るために使う)
土台(コア) 被せ物を支えるために、削った歯の中に作る芯(根管治療をした歯に被せ物をするときに作る)
ブリッジ 両隣の歯を土台にして、橋のように人工の歯をかける方法(1本抜けたところを、両隣を使って補う)
入れ歯(義歯:ぎし) 取り外しできる人工の歯(部分入れ歯と総入れ歯がある)
インプラント あごの骨に人工の歯の根を埋め込む方法(手術が必要で、原則は自費になる)
矯正(きょうせい) 歯並びやかみ合わせを、装置で少しずつ動かして整える治療(期間は年単位になることが多い)
メインテナンス 治療後に、よい状態を保つための定期的な点検と清掃(数か月ごとの通院を提案されることがある)

ここまでで覚えておくこと

  • 分からない言葉は、その場で「どういう意味ですか」と聞いてよい。
  • 治療の言葉はこの表、制度の言葉は「保険診療と自費診療」の章の表で確認する。

歯の治療は何をするの?|主な治療をやさしく解説

ここでは、歯科でよく行われる治療が「何をするのか」を、一つずつ説明します。どの治療が必要かは人によって違い、ここに書いたのは一般的な流れです。

歯の構造の簡単な図と、むし歯の進み方C0からC4までの段階を示す図
むし歯は、歯の表面(エナメル質)から内側(象牙質、神経)へ向かって進む。段階が進むほど治療は大がかりになりやすい

むし歯の治療とは|削って詰めるのが基本

むし歯は、口の中の細菌が、食べ物や飲み物の糖分から酸を作り、その酸が歯を溶かすことで起こります(e-ヘルスネット)。進み具合は、一般にC0からC4の5段階で表されます。

  • C0:歯の表面が白くにごった、ごく初期の状態。あなはまだ開いていません。削らずに、フッ化物(歯を強くする成分)や歯みがきで様子を見ることがあります。
  • C1・C2:歯の表面(エナメル質)や、その内側(象牙質:ぞうげしつ)まで進んだ状態。悪い部分を削って、詰め物で埋めるのが一般的です。
  • C3:歯の神経(歯髄)まで届いた状態。根管治療が必要になることが多くなります。
  • C4:歯の頭の部分がほとんど崩れ、根だけが残った状態。残せないときは抜歯(歯を抜くこと)も検討されます。

たとえるなら、むし歯は「家の壁のしみ」です。表面のうちなら手入れで済みますが、柱まで腐ると大工事になります。痛みが出ないまま進むこともあるので、痛くないから大丈夫、とは言えません。

歯周病の治療とは|よごれを取り、歯ぐきを落ち着かせる

歯周病は、歯と歯ぐきのすき間にたまった細菌によって、歯ぐきに炎症が起き(歯肉炎)、進むと歯を支える骨まで溶けていく病気です(歯周炎)。初めのうちは痛みがほとんどないため、気づきにくいのが特徴です。

治療の基本は、歯みがきの方法を見直すことと、歯科医院で歯石や細菌のかたまりを取り除くことです。検査では、歯周ポケットの深さを細い器具で測ります。進んでいる場合は、歯ぐきの外科的な処置が検討されることもあります。治ったあとも、再発を防ぐために定期的なメインテナンスを続けるのが一般的です。

e-ヘルスネットは、たばこを吸う人は吸わない人に比べて歯周病にかかりやすいことや、糖尿病の人は歯周病が進みやすいとされることを説明しています。

根管治療とは|歯の根の中をそうじする治療

むし歯が神経まで届いたり、神経が死んで根の先に炎症が起きたりしたときに行うのが、根管治療です。歯の中の細い管(根管)から、傷んだ神経や細菌を取り除き、中を消毒して、薬で隙間なくふさぎます。そのあと、削った歯の中に被せ物を支えるための芯(土台)を作り、その上に被せ物をすることが多くなります。

根管はとても細く、形も複雑なため、何回か通院して進めることがあります。途中で通院をやめると、中に細菌が入りやすくなるので、終わりまで通うことが大切です。

抜歯とは|残せない歯や、親知らずを抜く

抜歯は、むし歯や歯周病が進んで残せない歯や、トラブルを起こしている親知らず(一番奥に生える歯)などを抜く処置です。親知らずがあごの骨に深く埋まっている場合などは、口腔外科(こうくうげか:口やあごの手術などを専門に扱う診療科)のある病院を紹介されることもあります。抜いたあとは、出血や腫れへの注意点の説明を受けます。

歯を失ったときの3つの方法|入れ歯・ブリッジ・インプラント

歯を失ったところを補う方法には、主に3つあります。下の図では、白い歯が「自分の歯」、水色の歯が「人工の歯」、うすいピンクの帯が「歯ぐき」、濃いピンクが「入れ歯の土台」、灰色の線が入れ歯を留める「金属のバネ」、濃い灰色のねじが「人工の根」です。

入れ歯・ブリッジ・インプラントの違いを、自分の歯・人工の歯・歯ぐきのラベル付きの記号で比較した図
失った歯を補う3つの方法。手術の有無、周りの歯を削るか、保険が使えるかが大きな違い
  • 入れ歯:取り外しができる人工の歯です。何本かを補う部分入れ歯と、すべてを補う総入れ歯があります。部分入れ歯は、金属のバネ(クラスプ)を残っている歯にかけて固定するものが多く、バネをかける歯を少し整えることがあります。保険で作れますが、使える材料などに決まりがあり、自費にすると材料や形の選べる幅が広がります(日本歯科医師会)。作ったあとに調整の通院が必要になることが多いです。
  • ブリッジ:失った歯の両隣の歯を削って土台にし、橋のようにつながった人工の歯をかけます。固定式なので取り外しはしませんが、健康な隣の歯を削る必要があります(日本歯科医師会)。保険で作れますが、使える材料のほか、失った歯の本数や位置などにも条件があります。自費にすると材料の選べる幅が広がります。
  • インプラント:あごの骨に人工の歯の根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付けます。外科手術が必要で、治療期間は数か月から1年以上かかることもあります。原則は自費診療です。病気や事故であごの骨を広い範囲で失った場合など、ごく限られた場合だけ保険が使える仕組み(広範囲顎骨支持型装置)が2012年から設けられています(日本口腔インプラント学会誌の解説)。

どれがよいかは、失った歯の本数や場所、骨の状態、全身の病気、費用、通院の負担などで変わります。「どれが一番よい」と決まっているわけではないので、それぞれの長所と短所、費用、治療後の手入れを並べて説明してもらいましょう。

矯正歯科治療とは|歯並びを年単位で整える

矯正は、装置を使って歯を少しずつ動かし、歯並びやかみ合わせを整える治療です。ワイヤーの装置や、マウスピース型の装置などがあります。期間は年単位になることが多く、動かしたあとも、後戻りを防ぐための装置(保定装置)を使う期間があります。

見た目を整えることが主な目的の矯正は、保険が使えず自費になります。日本矯正歯科学会によると、保険が使えるのは次の3つの場合に限られます。

  1. 国が定めた病気が原因のかみ合わせの異常(たとえば唇顎口蓋裂:しんがくこうがいれつ。生まれつき唇や上あごに裂け目がある病気)
  2. 前歯と小臼歯(しょうきゅうし:前から4・5番目の歯)で、3本以上の永久歯(大人の歯)が生えてこないなどの場合
  3. 手術が必要な顎変形症(がくへんけいしょう:あごの骨の形や大きさの異常)の、手術前後の矯正

さらに、国の基準を満たして届け出た医療機関でしか、保険の矯正は受けられません。見分け方は、歯科医院に「保険の矯正を扱っていますか」と聞くのが簡単です。日本矯正歯科学会は、各地の厚生局(国の出先機関)のホームページにある届出の名簿でも確認できると案内しています。

ホワイトニングとは|歯を白くする処置は自費

ホワイトニングは、薬剤を使って歯の色を白くする処置です。病気の治療ではないので、保険は使えません。歯科医院で行うものと、エステなどで行う「セルフホワイトニング」は、使う薬剤も目的も違います。国民生活センターは、セルフホワイトニングの「無料体験」のつもりが、高額な契約になってしまったという相談について注意を呼びかけています。

ここまでで覚えておくこと

  • むし歯は「削って詰める」、歯周病は「よごれを取って歯ぐきを落ち着かせる」が基本。
  • 根管治療は回数がかかることがある。途中でやめない。
  • 歯を失ったときの方法は3つ。入れ歯とブリッジは保険で作れるものがあり、インプラントは原則自費。
  • 見た目のための矯正やホワイトニングは、自費になる。

保険診療と自費診療の違いとは|何が、なぜ違う?

歯科で一番迷いやすいのが、「保険でできます」「ここからは自費です」という説明です。この章では、しくみ → 混ぜたらどうなるか → 具体例 → 聞くべき質問、の順に説明します。

最初に押さえたい制度の言葉

用語 説明
保険診療 公的な医療保険を使う診療。費用の一部だけを払う(多くの人は窓口で3割を払う)
自費診療(自由診療) 保険を使わない診療。費用は全額自分で払う(値段は医院ごとに決められる)
診療報酬(しんりょうほうしゅう)/診療報酬改定 保険の治療の「値段の決まり(点数)」と、その見直し(2年ごとなどに見直される)
混合診療(こんごうしんりょう) 一つの病気の治療の中で、保険の治療と保険外の治療をいっしょに行うこと(原則として認められていない)
保険外併用療養費(ほけんがいへいようりょうようひ) 名前に「費」とあるが、ここでは「保険と保険外をいっしょに受けてもよいと国が認めた例外の制度」の名前と考えてよい(「選定療養」はその中の一つ)
選定療養(せんていりょうよう) 国が決めた項目に限って、患者が自分で選び、追加の料金を払うことで、保険の治療といっしょに受けられるもの(歯科では前歯の金属の被せ物に使う金合金など)
保険診療と自費診療の違いを、払う割合・値段の決まり方・材料や方法の選び方で比べた図
保険診療は国が決めた値段と方法の範囲で、一部負担。自費診療は医院が値段を決め、全額を自分で払う

保険診療とは|国が決めた値段で、一部だけ払う

保険診療では、治療の一つひとつに「点数」が決まっています。点数は国が決めていて、1点は10円として計算します。どの歯科医院でも、同じ治療なら基本的に同じ点数です。患者は、その合計金額のうち、年齢などで決まった割合(多くの人は3割)だけを窓口で払います。残りは、加入している公的医療保険(健康保険)が払います。多くの歯科医院は保険診療を扱っていますが、自費の治療だけを行う医院もあるので、初めての医院は予約のときに確認すると確実です。

その代わり、使える材料や治療の方法は、国が決めた範囲に限られます。保険の範囲は「診療報酬改定」(点数の決まりの見直し)で変わり、以前は自費だった材料が保険で使えるようになることもあります。直近では、2026年度(令和8年度)の改定が2026年6月から実施されています。

自費診療とは|医院が値段を決め、全額を払う

自費診療は、保険を使わない診療です。値段は医院ごとに決められるので、同じような治療でも、医院によって金額が違います。費用は全額自分で払いますが、保険では使えない材料や方法を選べることがあります。

保険と自費を混ぜたらどうなる?|原則は「全部が自費」

ここが一番大事なポイントです。

原則: 一つの病気の一連の治療の中で、保険の治療と保険外の治療をいっしょに行う「混合診療」は、原則として認められていません。組み合わせると、本来なら保険が使えた部分も含めて、治療全体が保険の対象外となり、全額が自己負担になるのが原則です。厚生労働省も、保険で認められていない薬などを治療で使うと全額自己負担になると説明しています。

例外: 国が認めた「保険外併用療養費」の制度の範囲なら、保険の部分は保険のまま(3割負担など)、追加した部分だけを自費で払えます。歯科で初めての人が出会うのは、このうち患者が自分で選ぶ「選定療養」です。国が定めたルール(告示)で、歯科の選定療養として決められているのは、主に次の2つです。

  • 前歯の金属の被せ物などに使う金合金(金を多く含む合金。いわゆる金歯の材料)や白金加金(はっきんかきん:白金を加えた金の合金)
  • 金属床(きんぞくしょう)による総入れ歯(土台の部分に金属を使った総入れ歯)

このほか、むし歯の再発を防ぐための継続的な指導管理も項目にありますが、初めての人が出会うことは多くありません。

保険と自費を混ぜた場合の原則と例外を、歯科の例つきで比べた図
原則は「混ぜると全部が自費」。国が認めた例外(選定療養など)だけ、保険の部分は保険のまま、追加分だけ自費になる

よくある場面で、全額自費になる?ならない?

よく出会う場面を、一次情報で言えることと、医院に確認すべきことに分けてまとめました。

場面 全額自費になる? 理由(一次情報で言えること) 始める前に医院に確認すること
前歯の金属の被せ物を、保険の金属の代わりに金合金にする ならない(追加分だけ自費) 選定療養の項目に入っているため、保険の部分は保険のまま、追加の料金だけを払う 追加の料金はいくらか
総入れ歯を、金属床の総入れ歯にする ならない(追加分だけ自費) 選定療養の項目に入っている 追加の料金はいくらか
根の治療は保険で受け、そのあとの被せ物だけセラミック(自費)にする 一連の治療として扱われれば、全体が自費になる(原則) セラミックの被せ物は選定療養の項目に入っていない。どこまでを「一連の治療」とするかの線引きは、公的な資料で一律の答えを確認できなかった 下の「確認の手順」を参照
奥歯の被せ物を金合金にする なる(原則どおり全体が自費) 選定療養の対象は「前歯」の金属の被せ物などに使う金合金に限られるため、奥歯の金合金は選定療養にならない 費用全体の見積もり
保険の治療の途中で、保険外の材料や方法を一部だけ使う 原則として全体が自費 混合診療の原則 保険外のものを使う前に、費用全体がどう変わるか

「被せ物だけ自費にしたい」ときの確認の手順

セラミックなど、選定療養に入っていない自費の材料を選びたいときは、次の順で確認すると安心です。

  1. 治療を始める前に、歯科医師に「被せ物を自費にしたいのですが、保険診療の部分(根の治療など)も含めて全体が自費になりますか」と聞く。
  2. 「保険の部分は保険のまま」と説明された場合も、「全体が自費」と説明された場合も、その内容を見積書に書いてもらう(保険の分と自費の分を分けて)。
  3. 全体が自費になる場合は、総額を見たうえで、保険の材料にするか自費にするかを決める。その場で決めず、持ち帰って考えてもかまいません。

治療を始めてからでは選び直しにくいことがあるので、自費の材料を選ぶ前に、費用全体がどう変わるかを確認することが大切です。

保険と自費の具体例|詰め物・被せ物の材料

いちばんよく出会うのが、むし歯を削ったあとの「詰め物」と「被せ物」です。保険で使える材料と、自費で選ばれることが多い材料の例を、日本歯科医師会と厚生労働省の資料で確認できた範囲でまとめました。

場面 保険で使われる主な材料(例) 自費で選ばれることが多い材料(例)
小さなむし歯の詰め物 白い樹脂(レジン)を直接詰める、金属の詰め物、条件を満たせば樹脂を機械で削り出した白い詰め物(CAD/CAMインレー) セラミックなど
前歯の被せ物 金属の表面に白い樹脂を貼った被せ物(硬質レジン前装冠)、樹脂を機械で削り出した白い被せ物(CAD/CAM冠) セラミック、ジルコニア(白くて硬い材料)など。金属の被せ物の金合金は選定療養(追加分だけ自費)
奥歯の被せ物 金属の被せ物(銀色のもの)、条件を満たせば白い樹脂の被せ物(CAD/CAM冠) セラミック、ジルコニア、金合金など

奥歯の白い被せ物(CAD/CAM冠)は、かみ合わせなどの条件を満たした場合に限られます。厚生労働省の2024年度(令和6年度)の改定資料では、大臼歯(だいきゅうし:前から6・7番目の大きな奥歯)で使える条件を緩めたことが示されています。保険で使える材料と条件は改定で変わるので、最新は歯科医院で確認してください。

この表の自費の材料を選ぶと、その歯の治療のどこまでが自費になるかが変わることがあります。選ぶ前に、上の「『被せ物だけ自費にしたい』ときの確認の手順」で費用全体を確かめてください。

なお、「保険の材料は質が低い」「自費なら長持ちする」と単純には言えません。見た目、強さ、削る量、費用、治療回数がそれぞれ違い、口の状態によって向き不向きがあります。自費の金額は医院ごとに違うので、このページでは相場は示さず、次の章で見積もりの見方を説明します。

「保険の方法と自費の方法があります」と言われたら聞くこと

歯科医院で選択肢を示されたら、次の質問をそのまま使ってください。メモを持っていくと聞き漏れが防げます。

  • それぞれ、何という材料・方法ですか。見た目はどう違いますか。
  • 強さや、長く使えるかどうかに違いはありますか。
  • 削る量や、通う回数は変わりますか。
  • 自費の場合、総額はいくらですか。その中に何が含まれていますか。
  • 自費にすると、保険で受ける部分の扱いは変わりますか(全部自費になりますか)。
  • 保証はありますか。壊れたり外れたりしたときの費用はどうなりますか。
  • 治療後の手入れ(メインテナンス)には、どのくらいの費用と頻度がかかりますか。
  • 今すぐ決めなければいけませんか。持ち帰って考えてもよいですか。

ここまでで覚えておくこと

  • 保険診療は「国が決めた値段(1点10円)×自己負担の割合」。自費診療は「医院が決めた値段を全額」。
  • 保険と自費を混ぜると、原則は全部が自費。前歯の金合金・金属床の総入れ歯など、選定療養の項目だけは追加分だけ自費。
  • セラミックなどを選ぶ前に「費用全体がどう変わるか」を見積書で確認する。

歯医者の費用はいくら?|初診の目安と3割負担の計算

先に答えを書きます。保険診療で初めて受診し、「初診料」「歯全体のレントゲン(パノラマ)」「歯周病の基本的な検査」を受けた場合、2026年(令和8年)6月からの点数で計算すると、3割負担の窓口の額はおよそ2,340円です。ただし、実際にはこのほかの上乗せの点数や、その日に行う処置の費用が加わることが多く、金額は人によって変わります。検査やレントゲンが増えたり、同じ日に歯石取りなどの処置をしたりすると、初診の窓口負担が数千円になることもあります(たとえば下の計算例1の検査に加えて、同じ日に歯全体の歯石を取ると約3,120円)。予約のときに「初診の日は、だいたいいくらかかりますか」と聞いておくと安心です。以下で、計算のしかたを順に説明します。

窓口で払う割合(自己負担割合)は年齢で変わる

厚生労働省の資料によると、窓口で払う割合は次のとおりです(2026年10月時点)。

年齢など 窓口で払う割合
小学校に入る前(義務教育就学前)の子ども 2割
小学生〜69歳 3割
70〜74歳 2割(働く世代と同じくらいの所得がある「現役並み所得」の人は3割)
75歳以上 1割(一定以上の所得がある人は2割、現役並み所得の人は3割)

自分がどの区分か迷っても、自分で計算する必要はありません。加入している健康保険に聞けば分かります。子どもの医療費は、多くの自治体に独自の助成があり、窓口の負担がさらに軽くなったり無料になったりすることがあります。内容は住んでいる市区町村で確認してください。

窓口で払う額の求め方

点数から医療費を出し、自己負担割合をかけて窓口の金額を出す流れを示した図
保険診療の窓口負担は「点数×10円×自己負担割合」。図の1,000点は計算のしくみを示すための仮の値

保険診療の窓口の額は、次の3段階で求めます。

  1. その日に行った治療や検査の点数を合計する(点数は国の「歯科診療報酬点数表」で決まっている)
  2. 合計点数 × 10円 = 医療費(保険が払う分も含めた、治療の値段の総額)
  3. 医療費 × 自己負担割合 = 窓口で払う額(10円未満は四捨五入)

計算例1|初診の日(2026年6月からの点数)

厚生労働省が公表している2026年度(令和8年度)改定後の歯科診療報酬点数表から、初診でよく行われる項目の点数を使って計算します。

項目 内容 点数
歯科初診料 初めての受診の基本料 272点
歯科パノラマ断層撮影(デジタル撮影)の撮影料 歯とあご全体を1枚に写すレントゲン 182点
同じく写真診断料 レントゲンを見て診断する料金 125点
歯周基本検査(歯が20本以上ある人の場合) 歯周ポケットの深さなどを調べる検査 200点
合計 — 779点
  • 医療費:779点 × 10円 = 7,790円
  • 3割負担:7,790円 × 0.3 = 2,337円 → 10円未満を四捨五入して 2,340円
  • 2割負担:7,790円 × 0.2 = 1,558円 → 1,560円

検算:272+182+125+200 = 779点です。この例には、次のような点数は入れていません。

  • 2026年6月から始まった「歯科外来物価対応料」(初診時3点)
  • 加算(条件を満たしたときに基本の点数に上乗せされる点数)。たとえば、国が決めた設備や人員の条件(施設基準)を満たしたと国に届け出た医院では、点数が少し上乗せされる
  • 管理料(治療の計画を立てたり、口の手入れの指導をしたりする料金)
  • その日の処置(歯石取りなど)

どれがいくら加わるかは医院や治療の内容で変わるので、会計の前に聞いてかまいません。

計算例1の検査に加えて、同じ日に歯全体の歯石を取った場合(下の計算例2の歯石取り262点を足した場合)は、779+262=1,041点 → 10,410円 → 3割で3,123円 → 3,120円です。

計算例2|2回目以降に歯石を取った日

2回目以降は「再診料」になります。歯周病と診断されたあと、歯全体の歯石を1回で取った場合の例です。歯石取り(スケーリング)は、上あご・下あごをそれぞれ3つ(右の奥・前・左の奥)に分けた1区画(これを「3分の1顎(がく)」と呼びます。全部で6区画)ごとに点数が決まっていて、1か所目が72点、同時に行う2か所目以降は1か所につき38点が加わります。

項目 点数
歯科再診料 59点
スケーリング(6か所を同時に:72点 + 38点 × 5) 262点
合計 321点
  • 医療費:321点 × 10円 = 3,210円
  • 3割負担:3,210円 × 0.3 = 963円 → 960円

検算:72 + 38×5 = 72 + 190 = 262点、59 + 262 = 321点。実際には、1回で全体を取るか、何回かに分けるかは口の状態や医院によって違い、管理料(指導などの料金)が加わることもあります。

計算例3|何回か通ったときの合計(しくみの確認)

歯科の治療は、1回で終わらないことが多くあります。ここでは、合計のしかたを確かめるために、仮の点数で5回分を足してみます。

回 内容のイメージ 仮の点数 医療費 3割負担の窓口額
1回目 初めての受診・検査・説明 800点 8,000円 2,400円
2回目 削って型を取る 900点 9,000円 2,700円
3回目 詰め物を入れる 700点 7,000円 2,100円
4回目 歯石を取る 300点 3,000円 900円
5回目 仕上げの確認 300点 3,000円 900円
合計 — 3,000点 30,000円 9,000円

検算:800+900+700+300+300 = 3,000点。3,000点 × 10円 = 30,000円。30,000円 × 0.3 = 9,000円。各回の窓口額の合計も、2,400+2,700+2,100+900+900 = 9,000円で一致します。1回あたりは数百円〜数千円でも、通う回数が増えると合計は大きくなります。

初診のときに聞いておく質問

  • 今日の会計は、だいたいいくらになりますか。
  • 治療は全部で何回くらい通いますか。合計でどのくらいになりそうですか。
  • 保険の治療だけで進める場合と、自費を選ぶ場合で、費用はどう変わりますか。
  • 次回の予定と、そのときの費用の目安を教えてください。

自費診療の見積もりは「内訳」を見る

自費の治療は、医院ごとに値段が違うため、ここで金額の目安を一つに決めることはできません。その代わり、見積もりを受け取ったら、何が含まれているかを確認しましょう。たとえば、被せ物、インプラント、矯正の見積もりには、次のような項目が入ることがあります。

内訳の項目 確認したいこと
検査・診断 レントゲンやCT(立体的に写すレントゲン)などの検査費は別か、含まれているか
処置・手術 1本分か、全体の分か
人工の歯・装置 材料は何か、追加の装置はあるか
土台・仮の歯 土台(コア)や仮の歯の費用が別にかかるか
調整・通院 通うたびに費用がかかるか、総額に含まれるか
治療後の手入れ メインテナンスの費用と頻度
保証・やり直し 保証の期間と条件、中断したときの返金の扱い

国民生活センターは、歯科インプラントについて、治療の前に、口の中や体の状態、治療方法、費用、リスクの説明を受けるよう呼びかけています。分割払いやローンを使う場合は、手数料や金利も含めた支払いの総額も確認しましょう。

ここまでで覚えておくこと

  • 保険の初診で初診料・パノラマ・歯周病の基本検査なら、3割負担で約2,340円(加算や処置で増えることが多い)。
  • 窓口の額は「点数の合計×10円×自己負担割合」(10円未満は四捨五入)。
  • 自費の見積もりは、総額と内訳、保証、治療後の費用を書面で確認する。

検診とメインテナンスの費用は?|症状がないときの保険の扱い

「症状がなくても検診を」と言われても、費用や保険の扱いが分からないと一歩が踏み出せません。ここで整理します。

健康診断そのものは、保険の対象外

保険診療のルールでは、健康診断は保険の治療として行ってはならないと決められています(厚生局の「保険診療の理解のために」)。つまり、病気の治療ではなく「健康かどうかを確かめるだけ」の検診は、原則として保険の対象外です。厚生労働省の「混合診療」問題の資料でも、治療とは別に独立して行われる予防的な処置などは保険外として費用を受け取れることが示されており、予防だけを目的としたクリーニングは保険外(自費)として扱われることがあります。

診察で病気が見つかれば、検査と治療は保険で

一方で、歯科医師が口の中を診た結果、むし歯や歯周病などの病気があり、治療が必要と判断された場合は、その検査や治療は保険診療になります。厚生局の資料でも、学校の健診などで病気が見つかった患者について、歯科医師が治療の必要を認めて治療を始めた場合の扱いが示されています。

検診で歯石を取ったら、保険になる?

歯石取り(スケーリング)は、国の点数表では「歯周基本治療」という歯周病の治療の一つです。そのため、

  • 歯周病の検査をして、歯周病と診断されたうえで、その治療として歯石を取る → 保険診療
  • 病気の治療ではなく、予防だけを目的にクリーニングをする → 保険外(自費)になることがある

という分かれ方になります。検診のつもりで受診しても、診察の結果、歯ぐきの炎症などから歯周病と診断され、治療として保険で歯石を取ることがあります。「前に検診に行ったら3割負担の会計だった」という場合は、このように治療として扱われていた可能性があります。どちらになるかは自分では決められないので、受診の際に「今日の歯石取りは保険ですか」と聞くと確実です。

歯周病の治療後の定期的な管理にも、保険の項目がある

歯周病の治療が一段落したあと、歯ぐきなどの状態を保ち、悪くなるのを防ぐために続ける定期的な治療にも、保険の項目があります。2026年度(令和8年度)改定後の点数表では「歯周病継続支援治療」という名前で、2回目以降は、前回この治療を受けた月の翌月1日から数えて2か月が過ぎた日以降に受ける(たとえば4月に受けたら、次は7月1日以降。歯周病の手術をした場合などは短くできる)、という決まりがあります(改定前は「歯周病安定期治療」などの名前でした)。

まとめると、こうなります

場面 保険の扱い(原則) 確認のしかた
市区町村の歯周病検診 保険ではなく市区町村の事業。無料や一部の自己負担で受けられることが多い 市区町村の案内
症状がなく「健康か確かめたい」だけの検診 保険の対象外(自費)になることがある 予約時に医院へ
診察で、むし歯や歯周病の治療が必要と判断された 保険診療(3割負担など) 説明を受ける
歯周病と診断され、その治療として歯石を取る 保険診療 会計前に聞いてよい
歯周病の治療後の、定期的な継続治療 保険の項目がある(間隔などの決まりあり) 医院へ
予防だけが目的のクリーニングなど 自費のことがある 医院へ

いちばん確実なのは、予約の電話で「検診を受けたいのですが、保険で受けられますか。自費の場合はいくらですか」と聞くことです。保険で受ける場合の金額の目安は、前の章の計算例1・2を参考にしてください。

行く間隔はどのくらい?

間隔は、むし歯や歯周病のなりやすさで変わり、全員に共通の正解はありません。歯周病の治療後などは短めの間隔、安定していれば長めの間隔、というように、検査の結果をもとに歯科医師や歯科衛生士(歯のクリーニングや指導を行う国家資格の専門職)と相談して決めます。

ここまでで覚えておくこと

  • 「健康か確かめるだけ」の検診や、予防だけのクリーニングは、原則として保険の対象外。
  • 歯周病と診断され、その治療として歯石を取るなら保険。歯周病の治療後の継続治療にも保険の項目がある。
  • 予約や会計のときに「保険か、自費ならいくらか」を聞いてよい。

医療費控除とは|歯科の費用と交通費はどこまで対象?

医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に払った医療費が一定額を超えたとき、確定申告(税金の手続き)をすると、所得税などが少し軽くなるしくみです。あとで説明する高額療養費と違い、条件を満たせば自費の治療費も対象になり得るのが特徴です。

医療費控除の対象になりやすい歯科の費用と、対象にならない費用を並べた図
医療費控除は「治療のための費用」かどうかが分かれ目。通院の交通費は電車・バスが対象で、自家用車の費用は対象外

計算のしかた

国税庁によると、医療費控除の額は次の式で計算します。上限は200万円です。

(1年間に払った医療費 − 保険金などで補てんされた額)− 10万円

「保険金などで補てんされた額」とは、医療費の穴埋めとして受け取ったお金のことです。国税庁は、民間の医療保険から出る入院費の給付金や、健康保険から出る高額療養費などを例に挙げています。

その年の総所得金額等(おおまかには、収入から必要経費などを引いた「所得」の合計)が200万円未満の人は、10万円の代わりに「総所得金額等の5%」を引きます。給与だけの会社員なら、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」がおおよその目安です。

計算例|歯の治療で自費が40万円かかった年

  • 前提:1年間に、歯の治療(治療目的の自費)で40万円、通院の電車代で1万円、ほかの病院代で5万円を払った。保険金などの補てんはなし。総所得金額等は200万円以上。
  • 医療費の合計:40万円 + 1万円 + 5万円 = 46万円
  • 控除額:46万円 − 0円 − 10万円 = 36万円
  • 税金が軽くなる目安:控除額に、その人の所得税の税率をかけた額です。所得税の税率は、課税される所得の金額によって5%〜45%の段階に分かれています(国税庁)。税率が5%の人なら36万円×5%=1万8千円、10%の人なら36万円×10%=3万6千円ほど所得税が少なくなる計算です。住民税も別に少し軽くなります。

検算:36万円 + 10万円 = 46万円で、合計と一致します。控除額は「戻ってくるお金」そのものではなく、税金を計算するときに所得から引ける額である点に注意してください。自分の税率が分からないときは、源泉徴収票(会社から年末にもらう、1年の給料と税金が書かれた紙)をもとに税務署で相談できます。

歯科で対象になる費用・ならない費用

国税庁のタックスアンサー(税金の質問への公式の回答集)で確認できる、歯科に関係する主な扱いは次のとおりです。

費用 扱い
歯の治療費(保険・自費) 治療のためなら対象。国税庁は、金やポーセレン(陶材:白い陶器のような材料)は歯の治療材料として一般的に使われているとして、対象になると説明している
子どもの歯列矯正 発育段階にある子どもの成長を妨げないために行う不正咬合(かみ合わせの異常)の矯正など、治療のためなら対象
見た目のための歯列矯正 容ぼう(顔かたち)を美しくするための矯正は対象外
通院の電車代・バス代 対象。子どもの通院などで付き添いが必要な場合、付き添いの人の交通費も対象
タクシー代 原則として対象外。電車やバスが使えない場合などは対象になる
自家用車のガソリン代・駐車場代 対象外
デンタルローン(歯の治療費のためのローン)で払った治療費 ローン会社(信販会社)が代わりに払った額は、ローン契約をした年の医療費として対象。金利や手数料は対象外

会社員も、医療費控除は自分で確定申告が必要

会社員の税金は、ふつうは会社の「年末調整」(会社が年末に1年分の税金を精算してくれる手続き)で終わります。しかし、医療費控除は年末調整では受けられないので、自分で確定申告をする必要があります。会社員が医療費控除で払いすぎた税金を取り戻す申告は「還付申告」と呼ばれます。

  • いつ出せる?:国税庁によると、還付申告は、医療費を払った年の翌年1月1日から5年間提出できます。
  • 3月15日を過ぎたら?:確定申告の期間(例年、翌年の2月16日ごろ〜3月15日ごろ。2026年は2月16日〜3月16日でした)は、主に税金を納める人のための期限です。会社員が医療費控除で還付を受けるだけなら、この期間を過ぎても、5年以内なら提出できます。 申告の期間中は税務署が混み合うので、1月〜2月前半に出す方法もあります。
  • どこで?:税務署の窓口のほか、国税庁のホームページで申告書を作る方法もあります。

「治療のための費用かどうか」は、何のための治療かという目的で判断されます。迷う場合は、歯科医師に治療の目的を確かめたうえで、税務署に相談してください。

手続きのポイント

  • 確定申告では、領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作って提出します。
  • 領収書は提出しなくても、確定申告の期限などから5年間は、税務署から見せるよう求められることがあるので保管しておきます。
  • 交通費は領収書が出ないことが多いので、日付・区間・金額をメモしておくと整理しやすくなります。
  • 生計を一にする(同じ家計で暮らしている)家族の医療費なら、まとめて申告できます。

ここまでで覚えておくこと

  • 医療費控除は「1年間の医療費 − 補てん − 10万円(または所得の5%)」。上限200万円。
  • 治療のための自費の費用も対象になり得る。見た目のための矯正は対象外。
  • 会社員も、医療費控除は自分で確定申告(還付申告)をする。

高額療養費とは|歯科で使えるのはどんなとき?

先に結論です。歯科の通院だけで高額療養費を使うことは、めったにありません。 高額療養費は、1か月(1日から月末まで)に払った保険診療の自己負担が、決められた上限額を超えたときに、超えた分が戻ってくる(または窓口で上限までの支払いで済む)制度で、上限額は数万円以上だからです。歯科で関係してくるのは、あごの手術で入院した場合など、高額な保険診療を受けたときです。

対象は保険診療だけ。上限額は健康保険に聞けば分かる

  • 自費診療の費用は対象になりません。 インプラントや見た目のための矯正、ホワイトニングなど、自費の治療費が高くなっても使えません。
  • 上限額は、年齢と所得の区分で決まります。自分で計算しなくても、加入している健康保険に聞けば分かります。たとえば2026年(令和8年)8月の見直し後、70歳未満で年収約370万〜約770万円の人が1か月に医療費100万円の保険診療を受けた場合、上限額は 85,800円 +(1,000,000円 − 286,000円)× 1% = 92,940円です(厚生労働省の例でも約9.3万円と案内されています)。2027年8月からは、所得の区分がさらに細かくなる予定です。
  • 2026年8月からは、1年間(厚生労働省の資料では8月〜翌年7月)の自己負担の合計にも上限(年間上限)ができました。
  • 窓口の支払いを最初から上限までにとどめたいときは、マイナ保険証(健康保険証として使えるように登録したマイナンバーカード)を使うか、加入している健康保険に申請してもらえる「限度額適用認定証」を出します。上限を超えた分を取り戻す手続きや、家族の分などを合計できるかどうかも、加入している健康保険に確認してください。

ここまでで覚えておくこと

  • 歯科の通院だけで使うことはめったにない。対象は保険診療だけで、自費は対象外。
  • 自分の上限額や手続きは、加入している健康保険に聞けば分かる。

歯医者の受診の流れ|初診から治療が終わるまで

初めての歯科医院では、だいたい次のような流れで進みます。医院によって順番や内容は違います。

歯科の受診の流れを、予約から受付、問診、検査、説明、治療、次の予約、メインテナンスまで順に並べた図
初めての受診のおおまかな流れ。検査と説明のあとに治療方針を決める
  1. 予約する:電話やインターネットで予約します。痛みがあるなら、そのことを伝えます。
  2. 受付:マイナ保険証(健康保険証として使えるように利用登録したマイナンバーカード)を出します。マイナ保険証の利用登録をしていない人は、加入している健康保険から申し込まなくても届く「資格確認書」を出します。昔のカードの健康保険証は、2025年12月1日で有効期限が終わり、期限切れの保険証を持参した場合の経過措置も2026年7月31日で終わっています(厚生労働省)。お薬手帳があれば持っていきます。
  3. 問診票を書く:困っていること、持病、飲んでいる薬などを書きます(次の章で詳しく説明します)。
  4. 検査:口の中を見たり、レントゲンを撮ったり、歯周ポケットを測ったりします。
  5. 説明と相談:検査の結果、治療の方法、通院の回数、費用の目安の説明を受けます。保険の方法と自費の方法がある場合は、ここで違いと費用を聞きます(図で強調しているのはこのためです)。
  6. 治療:痛みが強いときは、まず痛みをおさえる処置から始めることもあります。
  7. 次の予約:治療が続く場合は、次の予約を取ります。
  8. メインテナンス:治療が終わったら、定期的な点検や清掃に移ります。

通院の回数はどのくらい?

回数は、治療の内容や口の状態で大きく変わります。一般的な傾向としては、次のように考えておくとイメージしやすいでしょう。正確な見込みは、必ず担当の歯科医師に聞いてください。

  • 小さなむし歯:短い回数で終わることがある
  • 根管治療:何回か通うことがある
  • 被せ物・入れ歯:型取り、試し、装着、調整と、何回かに分かれることが多い
  • インプラント:数か月〜1年以上かかることもある
  • 矯正:年単位になることが多い

ここまでで覚えておくこと

  • 初診では、検査と説明のあとに治療方針を決めるのが一般的。
  • 受付ではマイナ保険証か資格確認書を出す(昔の保険証はもう使えない)。
  • 自分の健康保険が分からないときは、マイナポータル・資格確認書・勤務先で確認できる(FAQ参照)。
  • 通院回数は人によって違う。最初に「全部で何回くらいか」を聞いておく。

初診で聞かれること・伝えることとは

初診では、問診票や会話で、いろいろなことを聞かれます。正確に伝えるほど、安全で自分に合った治療につながります。

よく聞かれること

  • どこが、いつから、どんなふうに困っているか(痛む、しみる、腫れる、かみにくい など)
  • 持病(糖尿病、高血圧、心臓の病気、骨粗しょう症 など)
  • 飲んでいる薬(特に、血をさらさらにする薬や骨の薬)
  • アレルギー(薬、金属、ゴム手袋に使われるラテックス など)
  • 妊娠しているか、その可能性があるか
  • 麻酔で気分が悪くなったことがあるか
  • 前回の歯科受診がいつか、過去にどんな治療をしたか

自分から伝えておくとよいこと

  • 「できれば保険の範囲で」「見た目も相談したい」など、治療の希望
  • 費用や通院回数について気になっていること
  • 怖さや不安が強いこと(伝えてよいことです)
  • 通える曜日や時間

聞き返してよいこと

説明で分からない言葉があったら、その場で聞き返して大丈夫です。「ほかの方法はありますか」「それぞれの長所と短所は」「費用は合計でいくらですか」「やらなかった場合はどうなりますか」などは、治療を選ぶための大切な質問です。

ここまでで覚えておくこと

  • 持病・薬・アレルギー・妊娠は、必ず正確に伝える。
  • 治療の希望や不安も、遠慮せず伝えてよい。

歯科医院の選び方の観点|予約前に見ることと、広告の見方

このガイドでは、特定の歯科医院をすすめることはしません。そのかわり、選ぶときに確かめたい「観点」を、予約の前と後に分けて紹介します。

予約の前に、ホームページや電話で確かめること

  • 通いやすさ:場所、診療日、診療時間。治療は何回も通うことが多いので大切です。
  • 急な痛みへの対応:急な痛みのときに、当日の受診を相談できるか。
  • 自費の料金の載せ方:自費の治療を紹介している場合、費用、治療の期間と回数、主なリスクや副作用もいっしょに書かれているか(このあと説明する医療広告のルールで求められている内容です)。
  • 広告の表現:「日本一」などの言葉や、患者の体験談で効果をうたっていないか。
  • 検診の受け方:検診を受けたいと伝えたとき、保険・自費の扱いや費用を説明してくれるか。

受診してから確かめること

  • 説明が分かりやすいか:検査の結果、治療の選択肢、それぞれの長所と短所を説明してくれるか。
  • 費用を事前に示してくれるか:とくに自費の治療では、総額と内訳を書面でもらえるか。
  • 急いで決めさせないか:その日のうちの契約を強くすすめられたら、いったん持ち帰って考えてよい。
  • 治療後の手入れまで考えてくれるか:メインテナンスの方法や頻度を説明してくれるか。

医療広告のルールを知っておく

医療機関の広告には、医療法にもとづく「医療広告ガイドライン」というルールがあります。厚生労働省のガイドラインでは、ほかの医院と比べて優れていると言う広告(比較優良広告。たとえば「日本一」など)、大げさな広告(誇大広告)、患者の体験談を使って治療の効果を伝える広告などは、認められていません。

また、自費の治療をホームページなどで詳しく紹介する場合には、通常必要とされる治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数、主なリスクや副作用といった情報をあわせて載せることが求められています。

学会が認定する「専門医」や「認定医」の資格は、ある分野について一定の研修や審査を受けたことを示す目安の一つです。ただし、資格の有無だけで相性やその人に合った治療が決まるわけではありません。

ここまでで覚えておくこと

  • 予約前は「通いやすさ」「自費の費用とリスクの書き方」「広告の表現」を見る。
  • 受診後は「説明」「費用の書面」「急がせない」を確かめる。
  • 体験談や「日本一」などの表現を使った医療広告は、ルール上認められていない。

歯が痛い・急なときの目安|一般的な考え方

ここに書くのは、あくまで一般的な目安です。自分で判断がつかないときは、早めに歯科医院に電話で相談してください。

  • 顔が大きく腫れて、息苦しい・飲み込めない・高い熱がある:歯科だけでなく、救急の受診が必要になることがあります。迷うときは、地域によっては救急安心センター(#7119)などの電話相談も使えます。
  • けがで歯が抜けた:日本口腔外科学会は、抜けた歯を乾燥させないこと(牛乳に浸して持っていく。牛乳がなければ水でもよい)、抜けた歯を元の場所に戻す処置は、抜けてから30分以内なら成功率が高いといわれることを案内しています。できるだけ急いで受診しましょう。
  • 夜間・休日に痛む:地域の歯科医師会や自治体が、休日の歯科診療を案内していることがあります。住んでいる地域の情報を確認しておきましょう。
  • どこに行けばよいか分からない:厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」で、近くの歯科診療所を診療日や場所から検索できます。電話で「痛みがあるのですが、今日みてもらえますか」と聞くのが早道です。
  • 痛みが引いた:むし歯や歯の根の炎症は、痛みが一時的に引いても治ったとは限りません。受診の予定は、そのまま守るのが安心です。

ここまでで覚えておくこと

  • 腫れて息苦しい・飲み込めないなどは、救急も考える。
  • 痛みが引いても、治ったとは限らない。

歯の予防と検診とは|8020と歯周病検診

毎日の予防の基本

e-ヘルスネットは、むし歯の予防は、フッ化物の利用とシーラント(奥歯の溝をふさぐ処置)、歯みがき、糖分をとる回数を減らすことにまとめられると説明しています。歯と歯の間は歯ブラシだけでは届きにくいので、デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使うことも助けになります。歯周病の予防では、禁煙も大切なポイントです。

8020(ハチマルニイマル)運動とは

8020運動は、「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という取り組みです。20本以上の歯があれば、食生活に大きな支障が出にくいと考えられています。達成している人の割合は、「歯科の全体像」の章で紹介したとおり、まだ約6割です。

「検診」と「健診」はどう違う?

このページには「歯周病検診」と「乳幼児歯科健診」のように、2つの書き方が出てきます。一般に「健診」は健康状態を広く確かめるもの、「検診」は特定の病気を見つけるためのものを指すことが多いですが、歯科では法律や資料によって表記が分かれているだけのこともあります。このページでは、どちらも「歯と口の状態を調べてもらうこと」と読んで大丈夫です。名前は、それぞれの制度の正式な名前に合わせています。

公的な歯科健診の種類

厚生労働省の資料によると、法律にもとづく主な歯科健診は次のとおりです。大人が自分で使えるのは、いちばん上の歯周病検診です。

健診 対象 実施するところ
歯周病検診 20・30・40・50・60・70歳の人(国の基準。市区町村で広げている場合あり) 市区町村(行うよう努めるもの。行っていない地域もある)
妊産婦歯科健診 妊娠中・出産後の人 市区町村(行うよう努めるもの。行っていない地域もある)
乳幼児歯科健診 1歳6か月・3歳の子ども 市区町村(行う義務がある)
学校歯科健診 児童・生徒(毎学年) 学校
後期高齢者の歯科健診 75歳以上(後期高齢者医療の加入者) 後期高齢者医療広域連合(都道府県ごとの運営組織)

歯周病検診は、健康増進法にもとづいて市区町村が行うもので、2024年度(令和6年度)から20歳と30歳が対象に加わり、2026年度(令和8年度)に「歯周疾患検診」から「歯周病検診」に名前が変わりました。厚生労働省は、多くの市区町村で費用の多くを公費で負担し、一部の自己負担で受けられると案内しています。実施の有無や費用は市区町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の案内を確認してください。

対象年齢の数え方(誕生日の時点か、年度の途中でその年齢になる人も含むか)は、市区町村の案内で確認してください。たとえば大阪市は、年度ごとに対象となる生年月日の範囲を示し、国の基準より広い5歳ごと(20歳〜70歳)に無料で実施しています。このように、市区町村によって対象や費用が国の基準より広いこともあります。

対象に当てはまらない年に検診を受けたいときは、歯科医院に直接予約して受けます。その場合の保険の扱いと費用は、前の章「検診とメインテナンスの費用は?」のとおり、予約時に医院へ確認してください。

2024年の歯科疾患実態調査では、歯周ポケットが4mm以上ある人の割合は、15〜19歳で21.2%、80〜84歳で61.6%でした。4mm以上の深さは、この調査で歯周病の状態を見る目安として数えられているものです(健康な歯ぐきの溝は、一般にこれより浅いとされます)。若いうちから歯周病の入り口に立っている人がいることが分かります。

子どもと親(高齢の家族)の歯で気をつけたいこと

  • 子ども:乳幼児健診や学校健診の結果で受診をすすめられたら、早めに歯科医院へ。仕上げみがきや、甘い飲み物の与え方も見直しのポイントです。
  • 妊娠中:自治体の妊産婦歯科健診がある場合は、案内を確認しましょう。受診時は、妊娠していることを必ず伝えます。
  • 高齢の家族:入れ歯が合わない、食べこぼしやむせが増えた、といった変化は、口の機能が弱っているサイン(オーラルフレイル)のことがあります。通院が難しい場合は、訪問歯科診療(歯科医師などが自宅や施設に来て行う診療)という方法もあります。

ここまでで覚えておくこと

  • 予防の基本は、フッ化物・歯みがき(フロスなども)・糖分をとる回数の見直し・禁煙。
  • 歯周病検診の対象は20・30・40・50・60・70歳。対象でない年は、歯科医院に予約して受ける。

歯科でよくある失敗と回避のしかた

初めての人がつまずきやすいポイントと、その避け方をまとめました。

よくある失敗 どうなるか 回避のしかた
痛みが引いたので通院をやめる 根管治療などが途中で止まり、悪化することがある 治療の終わりまで通う。行けないときは連絡して相談する
費用を聞かずに治療を始める 思ったより合計が高くなる 最初に「何回くらい・合計いくらくらいか」を聞く
「一部だけ自費」を確認せずに頼む 保険の部分も含めて全部が自費になることがある 治療を始める前に「どこまで保険で、どこから自費か」を聞く
自費の契約を、その場で決める あとで比べたくなっても解約や返金が難しいことがある 見積もりを書面でもらい、持ち帰って考える
「無料体験」のつもりで申し込む 高額な契約になっていた(セルフホワイトニングの相談例) 契約書と支払い条件を確認する。困ったら消費生活センターへ
保険の矯正の対象か確かめずに自費契約 あとで保険の対象と分かることがある 先に「保険の対象になる可能性」を歯科医師に聞く
薬や持病を伝えない 治療の安全性に関わる 問診票に正確に書き、お薬手帳を持っていく
医療費控除の領収書を捨てる 申告で困る 1年分をまとめて保管し、交通費もメモする
治療後の手入れをしない むし歯や歯周病が再発しやすい メインテナンスの頻度を相談し、続ける

歯医者に行く前のチェックリスト

初めての受診の前に、次の項目を確認しておきましょう(印をつけながら使ってください)。

  • マイナ保険証(持っていない人は資格確認書)を用意した
  • お薬手帳(または飲んでいる薬のメモ)を用意した
  • 困っていること(どこが・いつから・どんなふうに)をメモした
  • 持病・アレルギー・妊娠の有無を伝えられるようにした
  • 治療の希望(保険の範囲で、見た目も相談したい、など)を考えた
  • 「全部で何回くらい」「合計いくらくらい」を聞くつもりでいる
  • 保険と自費の選択肢が出たら、「保険の方法と自費の方法があります」と言われたときの質問リストを使うつもりでいる
  • 自費をすすめられたら、見積もりを書面でもらうつもりでいる
  • 医療費控除のために、領収書を保管する場所を決めた
  • 住んでいる市区町村の歯周病検診や、子どもの医療費助成を確認した

歯科のことで困ったときの公的な相談窓口

治療や費用のことで困ったときは、次のような公的な窓口に相談できます。

窓口 何を相談できるか
医療安全支援センター 都道府県などに置かれ、医療についての心配や相談を受け付けている。どこに相談すればよいか分からないときの入り口になる
消費生活センター(消費者ホットライン188) 自費の治療やホワイトニングなどの契約・解約・支払いのトラブル。188に電話すると、近くの消費生活センターなどにつながる
加入している健康保険(健保組合・協会けんぽ・市区町村の国保など) 自己負担の割合、高額療養費の申請や上限額、限度額適用認定証、資格確認書
税務署・国税庁 医療費控除の対象になる費用、確定申告のしかた
住んでいる市区町村 歯周病検診・乳幼児健診・妊産婦歯科健診、子どもの医療費助成
都道府県や地域の歯科医師会 地域の休日歯科診療の案内など(窓口の内容は地域で異なる)

窓口によって、できることとできないことがあります。たとえば、治療が正しかったかどうかの判断や、医院との話し合いの代わりは、窓口によっては対応していません。まず電話で、どこまで相談できるかを確かめるとよいでしょう。

次に読む記事|テーマ別のおすすめ

このガイドで全体像をつかんだら、まずは次の3本から読むのがおすすめです。

まず読む3本

  • 保険診療と自費診療の違い|歯科の費用・制度の基本
    保険と自費の違いを、このガイドより詳しく確認できます。最初の1本におすすめです。
  • 被せ物・詰め物の種類|保険と自費の違いと選ぶときの確認点
    詰め物・被せ物の材料と、保険と自費の違いを表で比べられます。
  • 歯科の定期検診とメインテナンス|頻度の考え方と内容
    症状がないときの定期検診とメインテナンスの頻度と内容です。

気になるテーマがあれば

はじめての歯科のよくある質問(FAQ)

本文で扱った内容のほかに、よく出る疑問をまとめました。

Q. 資格確認書は、申し込まないともらえませんか。
A. マイナ保険証の利用登録をしていない人などには、加入している健康保険から、申し込まなくても無料で届きます。届いていないときは、加入している健康保険に問い合わせてください。

Q. 自分がどの健康保険に入っているか、どうやって調べますか。
A. マイナ保険証の人はマイナポータル(国のオンラインサービス)の資格情報で確認できます。資格確認書には保険者(加入している健康保険の運営者)の名前が書かれています。会社員なら、給与明細で健康保険料が引かれていれば勤務先を通じて健康保険に入っているので、勤務先の担当部署に聞けば分かります。

Q. 保険診療を扱っていない歯科医院もありますか。
A. 多くの歯科医院は保険診療を扱っていますが、自費の治療だけを行う医院もあります。初めての医院は、予約のときに「保険で診てもらえますか」と確認すると確実です。

Q. 自費の検診の値段を言われましたが、高いのか安いのか分かりません。
A. 自費の値段は医院ごとに決められるので、決まった相場はありません。何が含まれているか(検査、歯石取り、クリーニングなど)を聞いたうえで、2〜3か所に同じ内容で聞いて比べると判断しやすくなります。

Q. 治療の途中で引っ越すことになりました。
A. 今の医院に、治療がどこまで進んでいるかを聞いておき、新しい医院で伝えましょう。必要なら、今の医院に紹介状(ほかの医院あてに治療の内容を書いた手紙)を頼めるか相談できます。

Q. 子どもの歯科の費用はどうなりますか。
A. 小学校に入る前は、窓口の負担は2割です。さらに、多くの自治体に子どもの医療費の助成があり、負担が軽くなったり無料になったりすることがあります。内容は自治体ごとに違います。

Q. 歯科の領収書は、なくしても大丈夫ですか。
A. 医療費控除の明細書を作るときに必要で、確定申告の期限などから5年間は、税務署から見せるよう求められることがあります。1年分をまとめて保管しておきましょう。

Q. 歯科医院の広告に「日本一」と書いてありました。信じてよいですか。
A. 医療広告ガイドラインでは、ほかの医院より優れていると言う比較優良広告は認められていません。広告の言葉より、説明の分かりやすさや、費用・リスクの説明があるかを確かめるのがおすすめです。

Q. 治療の途中で通えなくなったら、どうすればよいですか。
A. まず歯科医院に連絡して相談しましょう。根管治療などは途中で止めると悪化することがあります。自費の契約では、中断したときの費用の扱いを、契約の前に書面で確認しておくと安心です。

Q. セカンドオピニオン(ほかの歯科医師の意見)を聞いてもよいですか。
A. 聞いてかまいません。高額な自費の治療や、抜歯などを決める前に、ほかの歯科医師の意見を聞く人もいます。検査の結果や見積書を持っていくと話が早く進みます。

出典

このページは、次の一次情報(公的機関・学会などの公開資料)を確認して作成しました。制度や金額は改定されることがあります。最新の内容は、それぞれの公式サイトで確認してください。

  • 厚生労働省「保険外併用療養費制度について」「患者申出療養を含む保険外併用療養費制度について」
  • 厚生労働省「令和6年度歯科診療報酬改定の主なポイント」「歯科診療報酬点数表(令和8年度改定後)」「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」
  • 厚生労働省「資格確認方法について」「医療情報ネット(ナビイ)」
  • 大阪市「歯周病検診を受けましょう」
  • 関東信越厚生局東京事務所・東京都「保険診療の理解のために(歯科)」、厚生労働省「いわゆる『混合診療』問題について」
  • 厚生労働省「患者負担割合及び高額療養費自己負担限度額」「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1120・No.1122・No.1128(医療費控除)、No.2030(還付申告)、No.2260(所得税の税率)
  • 厚生労働省「令和6年 歯科疾患実態調査結果の概要」
  • 厚生労働省「歯科健診を取り巻く現状と検討会の今後の進め方について」「歯周病検診について」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯」「歯周病とは」
  • 日本歯科医師会「テーマパーク8020」
  • 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは」
  • 日本口腔インプラント学会誌「保険収載された『広範囲顎骨支持型装置』:適応症の検討」
  • 日本口腔外科学会「けがをして、歯が抜けた」
  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」
  • 国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか」「セルフホワイトニングの契約トラブル」
  • 厚生労働省「医療安全支援センター」

このページは、歯科の治療・費用・制度について一般的な情報を提供するものです。診断や治療のすすめ、医療・税務についての個別の助言ではありません。症状がある場合や、自分に合う治療を知りたい場合は、歯科医師に相談してください。税金や保険の個別の扱いは、税務署や加入している健康保険に確認してください(2026年10月時点の情報です)。